採草地とは?

1.生活と採草地

採草地は次のような農山村での生活上の必要から生まれたものです。

  • 牛馬の飼育:農作業に重要な牛馬の飼料として、特に餌の少ない冬用の干し草には秋に大量の草を刈り、それを乾燥させて使います。また牛馬舎の敷きワラとしても草が使われます。
  • 水田や畑の肥料:できるだけ肥えた土にするために、雑木林から取った落ち葉とともに草を堆肥にして使います。夏期に草を刈って緑肥に使う地域もあります。また土呂部など山間のやせた土地では、大根の連作障害を防ぐため牛糞を肥料として必要としていた場合もあります。
  • 屋根材:地域によってはワラやアシも使いますが、特に茅(ススキ)は手軽で丈夫な屋根材として各地で使われました。
  • また採草地には様々な花が咲くので、8月の旧盆には仏様に供える「盆花」を採りました。(オミナエシ、カワラナデシコ、コオニユリ、タムラソウ、ヒゴタイ等、花の種類は地域によって異なる。) 近年では農作業の機械化や、過疎化、高齢化が進んだため、採草地の面積が激減しています。

2.採草の作業

採草地では、次のような作業が行われます。

  • 草刈り:草は特に冬期の干し草に使うことが多いため、秋の彼岸過ぎから草を刈り、草の束をもたれ合わせた「カヤボッチ」や「ボッチ」あるいは中心に棒を立てて草の束を積む「草小積」といった地方ごとの手法を用いて草を乾燥させます。これらはその地方独特の景観を生み出しています。 (カヤボッチ等の写真)
  • この草刈はとても重要で大変な作業なため、かつての阿蘇地方では彼岸過ぎから学校も休みになり、「草泊まり」というススキ、竹、ワラで作った小屋を作り、そこに鍋、釜等の道具一式を運んで家族全員で住み込み作業を行いました。 ・乾燥させた草を、かつては背中に背負って家まで運びました。現在では草は機械で刈り、軽トラックに乗せて畜舎まで運ぶのが一般的です。
  • 時に草の枯れている早春に「野焼き」をすることもあります。野焼きによってダニ等の有害な虫を殺し、良い採草地や放牧地を作ることができるのです。野焼きは危険な作業で延焼の恐れもあるため周りには草木を刈った防火帯(輪地)を作ります。これがまた大変な作業で、阿蘇では牛に草を食べさせて輪地を作る「モーモー輪地切り」というユニークな方法も試験的に行われています。

3.半自然草原の植物・動物

日本の多くの場所では草地を放置しておくと、次第に森林になっていきます(遷移)。草刈りなど人間の手を入れることでこの遷移が止まり、草原の状態が続きます。このような草地を「半自然草原」または「二次草原」と呼びます。(これに対し、高山草原、湿原、風衝草原等自然の要因によってできた草原を「自然草原」といいます。)

半自然草原は大きく「採草地」「茅(萱)場」「放牧地」に分かれます。

  • 採草地は比較的草丈の高い植物が多く、今では貴重になった植物も多く見られます。これは、毎年種が実る秋に草刈りを行うことによって種がまき散らされること、また草が運び出されて土の栄養分が乏しくなるので草が繁茂しにくいことなどが大きな原因です。 ※採草地の植物の例 (土呂部の場合)

・・・・・・・・・(何を入れるか)・・・・・・・

(阿蘇の場合) ススキ、タマボウキ、ケルリソウ、ヒロハトラノオ、ハナシノブ、ヒゴタイ、ツクシクガイソウ、ツクシマツモト、ヤツシロソウ、アソノコギリソウ等 ・茅場は茅野とも言い、ススキを主とした草原です。草が枯れた頃にススキを刈るので地下に栄養分を蓄えることができ、大型のススキ以外は生えにくくなっています。2,3年ごとにしか草刈りをしなかったり、草刈りをせず火入れだけを続けているところもススキ草原になります。

・放牧地は牛馬を放牧している草地で、牛馬が常に草を食べ続け、また踏み固めているので採草地に比べて低茎の草やノシバの草原になります。牛馬の頭数が少ないと高茎の草やススキの草原になる場合もあります。 ※阿蘇の放牧地の植物の例 ハルリンドウ、キスミレ、ヤマラッキョウ、ミツバツチグリ、ワレモコウ、リンドウ、ネザサ、トダシバ、ワラビ、ツクシゼリ、クララ等 ・多くの草本植物が生えると、それを食草あるいは依存する蝶や昆虫、あるいは草原性の鳥も多くなってきます。

※半自然草原の動物の例 (土呂部の場合)

・・・・・・・・・(何を入れるか)・・・・・・・

((阿蘇の場合の例) オオルリシジミ(クララが食草)、ゴマシジミ、ハヤシミドリシジミ、ヒメシロチョウ等

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